ASAHIKAWA WBC(up2016.03)

所属

旭川医科大学 生命科学

 

氏名

Yokichi Hayashi

教授 林 要喜知 

研究テーマ

・中枢神経系で働く神経接着分子の作用機序解析

・抗認知機能を持つ食物食材のスクリーニングと機能解析

研究内容(概要)

アルツハイマー病(AD)の分子機構を解析するため、脳内に存在している機能分子や食物素材から抗認知性の働きをもつ食物食材から抗認知症機能性食品開発を行っている。また、がん転移を抑制する分子の探索を進めている。

関連キーワード

生命科学,分子,神経細胞,神経,神経再生,アルツハイマー病,認知症,抗酸化,酸性ストレス,接着分子,認知症予防のための機能性食品,がん細胞の転移,培養実験,動物実験

主な研究内容もしくは代表的な過去の事例研究


【基礎研究】

1.脳神経系で働く神経接着分子の機能解析とその意義

 認知症等の脳神経変性疾患の予防における一つの側面として神経回路網の機能維持が注目されている。そこで、本研究では生体内分子の中でも神経回路形成や維持に関わる神経接着分子の動態解析をおこない、変性過程進展を抑制するメカニズムを明らかにしたいと考えている。このような基礎的研究は、神経幹細胞を用いた再生医療の分野の将来においても重要な役割を果たすことが期待される。なぜなら、移植された新たな神経細胞が生体内でどのように周囲と調和し、新たな神経回路構築に働くかという分子メカニズムを解析しておくことが、神経再生の有効性を高める必須の情報と考えられるからである。

2.アルツハイマー病の分子機構解析

 脳の可塑性を高めアルツハイマー病(AD)発症や進行などの遅延をはかる研究は、治療薬の開発とともに極めて有用である。アミロイドベータペプチド()が蓄積していく脳内環境が神経細胞死を誘導する主因の一つと考えられている。最近、外部の環境要因がADの発症にも大きく影響を与えることがエピジェネチクスの研究などから明らかになってきた。そこで、私達は外部環境の中で食物に焦点をあて、それらからAD病態モデル動物の症状進行に抗する作用をもつ物質をスクリーニングしている。現在、幾つかの候補物質が明らかになってきたので、それらの構造を明らかにしながら、記憶学習障害を緩和する効果物質の作用機序を解析している。

. がん転移抑制のためにメカニズムの解析

 これまで研究を進めている神経接着分子ががん細胞に転移に関わることが明らかになり、転移抑制研究を開始した。現在、転移関連分子を標的とした転移抑制物質評価のためのスクリーニング系を構築している。

【応用研究】

 AD病態モデル動物などを評価系として新たな抗認知性機能食材の開発を目指している。

1)抗認知症機能をもった北方食物食材の探索研究

 北海道には様々な北方自然植物・動物が存在している。これら自然素材の中に含まれる成分には認知症の発症や進行を遅延させるものが存在すると考えられており、そのような機能性分子のモデル細胞系で1次スクリーニングを行う。その後、ADモデル動物で2次スクリーニングと機能解析をおこなう。北方食材など身近にある自然素材の中から有用な食物資源を発掘したり、それらを含む加工食品の開発支援を目指す。

例1)  鶏肉のチキンエキスやサーモンから酸化ストレス消去物質を単離同定した。

例2)  昆虫類の抗認知性活性物質の2次スクリーニングを終了し、それらの機能解析をすすめている。

例3) アロニアやナナカマド類の1次スクリーニングを行っている。

2)それら活性物質を生化学的に単離同定及びモデル動物を用いた有効性分の評価

 現在、1次あるいは2次スクリーニングによって発見された有効成分を質量分析によって構造を解析しており、その有効成分を用いたAD病態モデル動物を用いた学習実験による評価を行っている。

連絡先 総務部研究支援課社会連携係

Tel0166-68-2197

Fax0166-66-0025

E-mailrs-sr.g@asahikawa-med.ac.jp

URL: http://www.asahikawa-med.ac.jp/

相談可能な分野・講演可能なテーマ

・機能性食品の活性評価

・生活習慣とアルツハイマー病の関わり

・培養実験及び動物実験

・身近な遺伝学

・生命科学に関する講座