ASAHIKAWA WBC(up2016.03)

所属

旭川医科大学 整形外科講座

 

 

氏名 

Hiroshi Ito

教授 伊藤 浩

研究テーマ

日本人の骨格形態に適合したハイブリッド型人工股関節の開発に関する研究

研究内容(概要)

日本人の脱臼性および亜脱性股関節症患者73関節に対して大腿骨全長5mm間隔でCT撮影を施行し、骨格形態を分析した。その結果を基に日本人に適合した人工股関節を開発した。この製品はハイブリッド型THA 4-U Hip Systemとしてナカシマメディカルより販売されており、期成績は良好である。

関連キーワード

脱臼性,亜脱臼性股関節症,日本人骨格形態,CT,人工股関節

主な研究内容もしくは代表的な過去の事例研究

 

日本人脱臼性および亜脱性股関節症患者の骨格形態の分析と、その結果を基にした人工股関節の開発

 

73関節に対して大腿骨全長5mm間隔でCT撮影を施行し、パーソナルコンピューター上にて皮質骨の外形、内形の輪郭を抽出した。3次元CADであるPro ENGINEERParametric Technology)にて大腿骨の各種計測を行った。症例の中には大腿骨頸部前捻が強く、骨髄腔がかなり狭い例が含まれており、ステムを細くストレートにし、オフセットを確保した製品が必要であることが明らかになった。3次元有限要素法によりデザインの妥当性を検討し、ステムサイズ(17号)を決定した。この製品はハイブリッド型THA 4-U Hip Systemとして、ナカシマメディカルより販売されている。約2200関節の手術が終了しているが、ほぼ術前計画通り手術が行われ、中期成績は良好である。

 

 脱臼性および亜脱性股関節症患者73関節に対して大腿骨全長5mm間隔でCT撮影を施行し、CTデータをDICOMフォーマットで保存した。このデータをパーソナルコンピューター上にて、画像解析ソフトであるMed VisionIMNET/Evergreen Technology)を利用し、皮質骨の外形、内形の輪郭を抽出した。画像解析ソフトを経て、3次元CADであるPro ENGINEERParametric Technology)にて大腿骨形態の各種計測を行った。計測項目は、(1)内外・前後長 (2)峡部位置 (3)各断面における最大長さ (4)捻れ角度(major axial angle)などとした。前捻角、峡部位置、前後幅とも大きなバラツキが認められた(下表)。脱臼性・亜脱性股関節症患者では、大腿骨頸部の前捻が強く、骨髄腔が狭い症例があるため、ステムを細くストレートにし、オフセットを確保した製品が必要であることが明らかになった。3次元有限要素法を用い、ステムのデザインと応力との関係を解析した。Harris precoat medium stemをコントロールとし、オフセット、骨頭中心、ネック角を一定にして、カラー下断面中心を、外側にそれぞれ5mm10mm水平移動したモデルを作製し、ステム近位部を徐々にストレートな形状に近づけた。解析の結果、オフセットを一定にした場合、カラー下断面中心の外側水平方向5mmまでの移動が生体力学的な許容範囲であることが判明した。これらの結果を基に大腿骨ステムをデザインした(下図)

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連絡先 総務部研究支援課社会連携係

Tel0166-68-2197

Fax0166-66-0025

E-mailrs-sr.g@asahikawa-med.ac.jp

URL: http://www.asahikawa-med.ac.jp/

相談可能な分野・講演可能なテーマ

・日本人の骨格形態に適合したハイブリッド型人工股関節の開発研究に関する講演など