ASAHIKAWA WBC(up2016.03)

所属

旭川医科大学 健康科学講座

 

氏名 

Toshihiro Itoh

教授 伊藤 俊弘 

研究テーマ

有害物質の生態影響と必須微量元素の中枢における役割及びその応用に関する研究

研究内容(概要)

我々の体に悪影響を与える有害物質や、生体維持に必要な必須微量元素とその役割まで、幅広い基礎研究の中で得た様々な知見に基づいて、高齢化社会における健康寿命の延伸に寄与することを目指し、また急速に変化する時代の中で、健康科学分野を活かした地域とのつながりも追求している。

関連キーワード

亜鉛,ストレス,,記憶障害,健康,高齢者,中枢神経,老化,健康寿命,社会医学,産業医学,職域保健,トキシコロジー,健康,予防,免疫,生活習慣病,健康保養,機能性食品,障がい者スポーツ,予防医学,疾学,臨床疾学,環境保健,地域保健,産業保健,医療科学

主な研究内容もしくは代表的な過去の事例研究

 

1.有害物質の生態影響に関する研究

 

本研究は現在、中国における慢性ヒ素中毒患者の症状緩和について進められている。飲水を介した慢性ヒ素中毒はバングラディシュや中国を中心に世界各地で問題となっている。慢性ヒ素中毒の主要症状である皮膚障害(角化症・色素異常・皮膚がんの発症など)は、ヒ素曝露を中止しても直ちに改善しないが、体内に貯留されているヒ素を排出することで症状の改善がみこまれることから、ヒ素によって引き起こされた慢性ヒ素中毒等の諸症状に対する治療法の一例として、ブロッコリー中に含まれるスルフォラファンの性質を利用することで体内のヒ素排泄を促進し症状の緩和に寄与しうるが、ブロッコリー粉末の投与により効果が得られるか検討しているところである。

 

2.必須微量元素の中枢における役割に関する研究

 

亜鉛は必須微量元素のひとつである。その欠乏により、皮膚炎の発症や味覚障害・免疫機能低下など症状が出現する。体内の亜鉛は高齢化に伴って減少することが知られており味覚障害等の症状の出現割合も高い。よって、亜鉛摂取を積極的に行うことが高齢者に対する健康保健や健康寿命の延伸につながると考えられる。

また、亜鉛は脳内では記憶機能に強く関係する海馬に高濃度に存在している。海馬は強いストレスにより収縮し、その機能が障害される。記憶障害と海馬の亜鉛との関連性については十分に解明されていないが、この機序や意義を明らかにしていくことで高齢者の健康寿命の延伸等に寄与しうると考えている。

 

3.以上の研究を活かした老人福祉・介護分野への応用

 

本研究過程で得た種々の知見から、高齢者の高いQOLを維持した生活を送るための応用的な研究を視野にいれている。たとえば、様々な病気の予防に有効とされる栄養素を日々の食事の中にいかに取り入れていくかという「食」に関する分野への応用である。他にも習慣的運動の実践における量や質と生活習慣病の予防の関連性など「運動」「ライフスタイル」分野への応用などがあげられる。さらに、老化に伴って発症リスクが増大する動脈硬化性の進行を抑制・改善するためのアプローチなど、今後確実に深刻化する高齢化社会にむけた地域貢献にも力を入れていく予定である。

連絡先 総務部研究支援課社会連携係

Tel0166-68-2197

Fax0166-66-0025

E-mail:sho-kenkyu@jimu.asahikawa-med.ac.jp

URL: http://www.asahikawa-med.ac.jp/

 

相談可能な分野・講演可能なテーマ

・生活習慣病予防講座などの講演

・有害物質(とくにヒ素)と

その影響に関すること

・病気の予防に関すること

・必須微量元素について(とくに亜鉛)

・健康と運動について