ASAHIKAWA WBC(up2016.03)

所属

旭川医科大学 生理学講座

神経機能分野

 

氏名

Makoto Kashiwayanagi

教授 柏 誠

 

研究テーマ

嗅覚味覚を中心とした感覚生理学

研究内容(概要)

嗅覚系は匂い受容細胞であり、神経細胞でもある嗅細胞および一次中枢の嗅球介在細胞が成体でありながら新生するユニークな性質を有している。新生した嗅細胞および嗅球神経細胞は神経回路を日常的に構築している。この過程における分子基盤を解明することで、神経損傷の回復を可能にすると予想して研究を進めている。

関連キーワード

TRPチャネル,匂い,フェロモン,アルツハイマー,鼻腔内投与

主な研究内容もしくは代表的な過去の事例研究

 

1.神経の成長とTRPチャネル
 ショウジョウバエの視覚ミュータントから見つかったTRPチャネルは、哺乳動物でも様々な役割を演じている。我々は、神経栄養因子とTRPチャネルの連関について研究している。
2.嗅覚系の成熟とGABA
 抑制性の神経伝達物質の受容体が神経系の成熟に伴う変化を研究している。
3.成体でも新生する神経細胞の解析
 一般に神経細胞は大人になると新生しないと思われている。しかしながら、脳室下層では大人でも神経細胞が新生している。我々は、年をとったラットでは、神経新生能力が低下していることを見いだした。脳室下層で新生した神経細胞は匂い情報の処理を行っている嗅球という脳の部位に移動してにおいの識別能力の維持に関わっている(Biol. Pharm. Bull., 2009)。そこで、老化と神経細胞の新生の関係を研究している。
4.アルツハイマー病に関連するβアミロイドタンパク質の産生を制御するX11およびX11-Lタンパク質の嗅覚系における役割の解析
 アルツハイマー病では嗅覚障害が生ずる。そこで、アルツハイマー病のモデル動物を用いて、嗅覚障害の発生機構を解析している。
5.制ガン剤の引き起こす感覚異常の神経レベルでの解析

 抗ガン剤では、副作用として感覚障害が生ずる。そこで、感覚障害の発生機構を解析している。
6.ヒトフェロモンに関する研究

 ヒトから発するフェロモンの生理作用を解析している。
7.鼻腔内投与した薬物の脳内伝達経路および作用の研究

 脳の薬物治療には、脳血管関門があるために限られた薬物しか適用できない。一方、鼻腔内投与した薬物は、嗅上皮から脳血管関門を介さずに脳内に直接到達する。この投与方法の有用性を明らかにするために、鼻腔内投与した薬物の脳内作用を検討している。

8.オオカミ尿に含まれる害獣忌避物質の探索と恐怖誘発脳内機構の解明

 すでに、マウスに対して有効な物質(P-mix)を同定し、エゾシカに忌避と恐怖行動を誘発することを見いだした。現在、忌避効果に関係する分子構造の探索と強い忌避効果を有する物質の探索を行っている。

9.ストレスの脳内経路とその軽減

 P-mixでマウスやラットにストレスを引き起こしたときの脳内経路を解析するとともに、鼻腔内より抗不安薬を投与し、その効果の検証を行っている。

連絡先 総務部研究支援課社会連携係

Tel0166-68-2197

Fax0166-66-0025

E-mail: rs-sr.g@asahikawa-med.ac.jp

URL: http://www.asahikawa-med.ac.jp/

相談可能な分野・講演可能なテーマ

・嗅覚(一般的な匂いおよびフェロモン)に関するテーマ

・味覚一般に関するテーマ