ASAHIKAWA WBC(up2016.03)
所属 旭川医科大学 健康科学講座
氏名 Yoshihiko Sugioka 講師 杉岡 良彦 |
研究テーマ スピリチュアリティと健康に関する医学哲学的研究 研究内容(概要) 近年の医療の概念は、「身体的」「心理的」「社会的」次元に「スピリチュアルな次元」も含めた「全人的医療」が目指されている。このスピリチュアリティ(生き甲斐や生きる意味、希望)が健康に与える影響を医学哲学的に研究している。 関連キーワード スピリチュアリティ, 健康, 医学哲学, 全人的医療 |
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主な研究内容もしくは代表的な過去の事例研究
従来の医療は「生物医学」であり、病気を身体的な側面から考えた。しかし、その後「心身医学」が興り、心と身体は互いに影響を及ぼしあっていると考えられ(心身相関)、「身体」「心理」「社会」という3つの側面から患者を診ると言う「全人的医療」の考えが生まれてきた。現在では、さらに患者のスピリチュアルな次元を考慮した「全人的医療」が目指されている。(図1)
(1)医療分野におけるスピリチュアリティ 現在の医学領域のうち、特に緩和ケアの分野では、「スピリチュアルケア」が実践されている。この「スピリチュアル(霊的)」や「スピリチュアリティ」という言葉は、かつては主に宗教分野で使われていたが、近年の医療分野においては、「生きがい」や「生きる意味」を指すものとして用いられる。スピリチュアルな次元は、宗教の有無に関わらず、すべての人間に認められるものである。 昔は結核などの感染症が死亡原因として圧倒的に多かったが、現在では癌などの生活習慣病に移行しており(疾病構造の変化)、従来の身体的なものだけを見る医療では対応が十分ではない。患者のもつ「生きがい」や「生きる意味」を医療の中で考慮する必要があると考えられる。私は現在このスピリチュアリティと健康に関する医学哲学的研究を主におこない、毎年数本の論文や学会発表を行っている。 (2)スピリチュアリティと医学、宗教と医学 2009年、この分野の第一人者であるハロルドG.コーニックの著書を翻訳し、医学書院より出版された。そこでは、スピリチュアリティや宗教が健康に及ぼす影響が科学的な研究に基づいて紹介されており、このような研究は海外において2000年までに約1200件に上る。例えば、教会に週1回以上出席する人はそうでない人よりも約30%死亡率が低いというデータなど、海外ではすでに多くの科学的研究が行われている。日本においては宗教と医学の関係を研究している研究者は少なく、今後、更なる研究を進めていく中で、病気の治療や予防に役立てることができると考えている。また、こうした研究は、医学とは何か、科学とは何か、病気とは何かを批判的に問う、医学哲学の一分野でもある。 【参考文献】 コーニック著、杉岡訳『スピリチュアリティは健康をもたらすか〜科学的研究にもとづく医療と宗教の関係〜』医学書院、2009年
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連絡先 総務部研究支援課社会連携係 Tel:0166-68-2197 Fax:0166-66-0025 E-mail:sho-kenkyu@jimu.asahikawa-med.ac.jp URL: http://www.asahikawa-med.ac.jp/ |
相談可能な分野・講演可能なテーマ ・スピリチュアリティと健康について ・全人的医療と心身医学について ・職場のメンタルヘルス対策 ・患者中心の医療とは |
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