ASAHIKAWA
WBC(up2012.01)
所属 北海道教育大学教育学部旭川校 理科教育専攻 氏名 Keiji Wada 教授 和田 恵治 |
研究テーマ 白滝黒曜石(白滝ジオパーク)の研究 研究内容(概要) 火山の噴火で生じた岩石の一つに、黒曜石がある。自然物の美しさをもち、石器時代から数万年にわたって貴重な生活道具であった黒曜石は、マグマの噴火過程を解明する重要な鍵となる。白滝黒曜石の地質遺産としての魅力の紹介、観光資源としても地域社会の活性化に寄与する可能性を追究。 関連キーワード 黒曜石、火山ガラス、石器、元素組成、白滝ジオパーク |
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主な研究内容もしくは代表的な過去の事例研究 1. 地球をつくる火山の岩石 地球の誕生から46億年間、熱エネルギーの運び屋であるマグマは、地表まで上がってきて沢山の火山を作ってきた。火山はマグマが冷えて固まった岩石(玄武岩や安山岩・流紋岩など)からできている。そうした岩石をかち割って新鮮な部分を見てみると、カラフルな鉱物も含まれ、自然物として味わい深いものであることに気づく。現に、宝石や水晶・自然金などの貴重な鉱物、また建物や家具に使われる磨かれた岩石(花崗岩や大理石等)は広く愛着を持たれている。 2. 黒曜石とは何か?―マグマがつくる、輝くガラスの石― 黒曜石は、マグマが急冷されたため、ほとんどが火山ガラスでできている岩石である。ガラスとは、高温で融けた液体を急速に冷却させたときに、結晶ができずにそのまま固まってしまった物質のことを言う。人口のガラスも、火山活動や隕石の衝突でできる天然のガラスも、でき方は同じである。漆黒でつやつやした黒曜石の破断面はとても美しく、人工的に磨かれたものではないかと思うほどである。人々が宝石に惹かれるのは、透明感と輝き、鮮やかな色、変わらない美しさだが、黒曜石も同様な特徴を兼ね備えている。 黒曜石のもう一つの大きな特徴は、黒曜石を800℃〜1200℃に加熱すると、大きく膨らんで色も白っぽく変わり、見かけがまるで別のもの(パーライト)に「変身する」ことである。 3. 黒曜石は噴火の秘密を解き明かす 黒曜石がほとんどガラスだけから出来ているのはなぜなのか、ガラスでできているのになぜ透明ではなく黒いのか等、黒曜石にまつわる謎は、実はまだ十分に解明されていない。北海道には黒曜石の産地が数多くあるが、遠軽町白滝は、日本列島で最も良質で多量の黒曜石がみられるところである。 220万年前に噴出した「白滝黒曜石」の地質を調べ、黒曜石の加熱実験や火山ガラスの組成分析や物理条件のシミュレーション手法で研究を行っている。斑晶鉱物を含まず、水を保持した黒曜石は、噴火時の液体マグマをそのまま凍結した試料であり、その組成条件がわかれば、マグマの噴火過程を明らかにする手がかりが得られる。 4. 白滝ジオパークの大地に蘇る黒曜石物語 白滝産の黒曜石は、北海道の旧石器・縄文・続縄文時代の遺跡から出土した石器に最も多く使われている。石器の産地はEPMAで元素組成を調べればわかるが、北海道内だけでなく、遠くサハリンや千島列島、南は東北地方までも、白滝産黒曜石が広く流通していたことが判明。先史時代、氷河期のころの人々は、白滝で黒曜石を採取し、加工して石器を作り、400q以上も離れた場所までも黒曜石を運んでいたことになる。 白滝黒曜石の貴重な地質・考古遺産は、2010年9月に「白滝ジオパーク」として日本ジオパークに認定された。黒曜石を生成したユニークな火山活動の歴史だけでなく、氷河時代から使ってきた人類の足跡「火山と人類史の出会い」を、白滝の奥山でたどり、深く味わうことができる。教育だけでなく貴重な観光資源、ジオツーリズムの拠点に繋がる朗報として捉えたい。 |
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相談可能な分野・講演可能なテーマ ・白滝黒曜石のふしぎを感じる -火山と人の物語- ・白滝黒曜石流紋岩溶岩群の概要 ・白滝黒曜石巡検コース概要 -白滝ジオパークを歩く- |
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