◎第2回は「生命倫理」について~医療における人間の生と死の問題―哲学・倫理学の視点から考える~の講義でした。
旭川ウェルビーイング・コンソーシアムの教育コーディネーターである、元名寄市立大学教授 白井 暢明先生による熱のこもった講義に受講者も、最後まで熱心に聴いていました。
冒頭から、哲学者(ハイデッガー)の「人間にとって最も確実な可能性は『死』であるから、はじまり「死から逃げるな!」、人間は死によって本当に人生の意味を開示できると、前向きにとらえる視点から講義が始まりました。
<内容>
医療技術の進歩とともに、人間の生と死の問題を考える「医療倫理」が重要課題となっています。本講義では、安楽死と尊厳死・人工人妊娠中絶・臓器移植と脳死判定などの現代医療がかかえる問題に対し、その背景やさまざまな歴史的事例を通じて、深刻な問題を身近な問題として講義していただきました。「『死』があることによって、一回限りの生を価値あるものあるものとして『死』を受け入れる。」との哲学者の言葉は、受講者に多くの示唆を与えた講義となりました。
受講者 31名
◎昨年、大学院を修了したばかりの若手バリバリの、旭川工業高等専門学校の佐藤 直飛先生をTOPに、旭川ウェルビーイング・コンソーシアム2022年度[前期]あさひかわオープンカレッジ講座がいよいよ始まりました。
<内容>
難解に思いがちな「数学」の世界を、その起源から分かりやすく解説していただきました。そこから、私たちの日常の暮らしの中で「数学」が活かされていることが分かりました。物事の見方や考え方をデータとしてとらえ、グラフ化していくなど、さまざまな形をとおして、受講者と一緒に考えながらの楽しい講座でした。
参加者 22名
今年度から、あさひかわオープンカレッジは、6月~8月の【前期】開催と9月~11月開催の【後期】開催といたしました。
受講者アンケートでは、早い時期からの開催希望が多く寄せられており、従来9月からの開催を6月からとしたものです。
まず、【前期】3講座の受講希望を6月1日から受け付けております。
多彩な内容をわかりやすくお話しいたしますので、お気軽にお申し込みください。
◎6月1日(水)~募集開始(各講座30名)
講義概要 6/25(土)(シニア大学講座室)13:30~14:30
「身の回りに広がる数学の世界」
<概要>ガリレオ・ガリレイは「宇宙という書物は数学の言葉で書かれている」と言いました。この講座では,世界を数学という言葉で捉える知恵についてお話したいと思います。風景の見え方からAIの話まで,私たちの身の回りに広がる数学の世界の一部を紹介できたらと思っています。
講義概要 7/18(月)(シニア大学講座室)13:30~15:30
「生命倫理」について
~医療における人間の生と死の問題―哲学・倫理学の視点から考える~
<概要>近年、医療の領域で「生命倫理」的思考の重要性が増している。例えば、「生命を最大限維持することが善である」という従来の医学の前提が、「生命の質」についての考察と共に絶対的なものではなくなった。そこから、「安楽死の是認」や「延命治療の否定」などの考え方も生まれてきた。これらは「生の意味・価値」に関わる問題であり、哲学や倫理学的考察を必要となる。その際の基本的な考え方の原則は何かを考えるのが「生命倫理」である
講義概要 8/20(土)(シニア大学講座室)13:30~15:30
「認知症予防と運動について
〜健康で豊かに歳を重ねる秘訣とは〜」
<概要>人生100年時代である昨今、健康で豊かに歳を重ねていきたいと思いませんか。運動不足は認知症発症の危険因子のひとつです。この講座では、歩行機能と認知症のメカニズムをわかりやすく、身近で簡単な運動不足の解消法についてご紹介できたらと思っています。
当コンソーシアムは5月GW休業のため通常業務を休止させていただきます。
期間中は、施錠するため、事務室へ立ち入りできませんのでご注意ください。
なお、事前に会議室等を予約申し込みしている方は、管理室で鍵を借りたうえでご利用願います。
一般社団法人 旭川ウェルビーイング・コンソーシアム
理事【業務・財務担当】 竹 中 英 泰
刊行にあたり
新型コロナウイルスの流行もすでに2年におよぶ。国内外の芸術、経済活動に大きな影響を及ぼし〈旭川音楽大行進〉や〈北の恵み 食べマルシェ〉も中止となって、旭川の秋もすっかりさみしくなってしまった。このオープンカレッジも昨年の最終回は旭川市内における新型コロナウイルス感染症患者の急増に伴い中止を余儀なくされた。
はたして今年度は講座が開けるものかといささか危ぶみながらの出発ではあったが、ワクチン接種の広がりもあって、なんとか最終回までいちども欠くことなく開講することができた。これも関係者各位、講師を引受けてくださった先生方、参加してくださった受講生の皆様のおかげである。深くお礼申し上げたい。また、今年度は例年になく多くの受講者に参加いただいた。生涯学習活動の一環として、年代や職業を異にするさまざまな人々が集まって学び、議論するというこの貴重な場が今後も継続することを期待してやまない。
北海道教育大学旭川校 教授 十枝内 康隆